各市町村長 様

 

「障害者自立支援法」に基づく施策実施にあたっての緊急要請書

 

障害児者の生活と権利を守る神奈川県連絡協議会

                   

 

1、制度の周知徹底について

⑴、「障害者自立支援法」における制度の概要や手続きの実務などの利用者への説明について、貴市(町村)が責任を持って利用者説明会または、訪問による説明をきめ細かく行なうこと。

⑵、来年4月からの利用者負担の変更に当たっては、2月中に月額負担上減額の区分をきめるための申請が必要であり、申請書を利用者全員に郵送して、利用者からの申請を待つのではなく、利用者説明会または、訪問による説明を行なう中で申請書を渡し、個別相談も行ないながら申請を促すこと。

⑶、要望のあった団体には貴市(町村)職員を派遣して説明を行なうこと。

⑷、法の根幹に関わる重要な事項はすべて政省令で示されるが、いまだその全貌は明らかになっていない。制度の組み立てに必要な情報は貴市(町村)の責任で入手し、問題点を解明するとともに、市民に随時情報提供をすること。

 

2、利用者負担について

⑴、自立支援法では、福祉サービスの費用負担が、これまでの国1/2、政令市・中核市1/2が、国1/2、県1/4、政令市・中核市1/4となり、政令市と中核市の負担は大幅に減ることになった。一方、一般市においても、来年4月から導入される施設利用者の自己負担の増額分が、結果として支援費総額の減少につながる。そのため予算が来年度から浮くはずであり、その分をほかに回さずに、定率負担が障害者サービスの利用抑制や後退につながらないよう、国の軽減策に加えて貴市(町村)独自の支援策を制定すること。

⑵、負担軽減について、個別な相談ができる窓口体制を強化すること。

⑶、課税世帯に属していても、利用者が成人に達している場合は、本人のみの収入または預貯金で負担軽減が受けられるように、国に働きかけるとともに、独自の措置を講じること。

⑷、個別減免の対象となる基準(預貯金及び収入)を引き上げるよう、国に働きかけるとともに、独自の措置を講じること。

⑸、社会福祉法人減免は、区域内に存在しない場合にのみ社会福祉法人以外の法人が対象となるが、居宅介護の提供主体はほとんどが民間事業者であり、実質的に減免の恩恵を受けることができない。社会福祉法人以外の非営利の事業者から提供されるサービスにかかる費用負担も、負担上限額の減免対象とするよう独自の措置を講じること。

⑹、自立支援医療の認定のための診断書料、および障害程度区分の判定時に必要な医師意見書料については、本人負担とならないよう診療報酬の対象とし、市が判断材料として提供してもらう仕組みとするなど独自の措置を行なうこと。

⑺、精神障害者通院公費がなくなり、自立支援医療に組み入れられることによって生じる精神障害者の医療費の自己負担分を助成すること。

⑻、入所施設利用者を、重度障害者医療費助成事業の対象とすること。

 

3、「障害程度区分」の認定、および「支給決定」について

⑴、アセスメント(認定調査)は外部委託せず、貴市(町村)職員が実施すること。また、貴市(町村)として障害者の実態やニーズの把握をする為に、申請に伴う訪問調査を行い、必要な人員も確保すること。

⑵、聞き取り時に実態をよく理解する関係者の同行を認め、三者の合意による判定を行うようにすること。

 

⑶、サービス利用は支援必要性の度合い(困難状況)だけでなく、「○○したい」「○○する必要がある」などの意向も大きく作用する。しかし、調査項目が、身体機能、室内における日常生活行為に明白に偏っている。社会性、地域生活に関する項目の抜本増とその数値的位置を抜本的に高め、本人の意向や環境条件が的確に反映できるような「障害程度区分」の認定に改めるよう国に要望すること。

⑷、「医師意見書」として示されている内容は、ほとんどが医学的所見となっているが、サービス利用についての医学的意見を明確な記入事項として盛り込むこと。また、地域生活支援センター等の福祉関係者からの意見書も付記できるようにすること。

⑸、「障害程度等に関する特記事項」欄を設け、コンピュータ判定と同等の取り扱いをすること。

⑹、審査会の設置に当たっては、合議体の数を増やし1ケースごとの審査を慎重に行なうこと。また、それぞれの障害種別ごとの専門家と当事者を配置すること。

⑺、第一次判定の結果を利用者に仮通知し、希望者には審査会において家族や代行者による補足のための意見陳述や聴取の機会を保障すること。

⑻、審査会の意見は文章化して具申し、「障害程度区分」と共に本人に通知して、再審査を申し出られるようにすること。

⑼、「障害程度区分」によって、サービス(事業)の利用制限を設けないこと。

⑽、支給決定は、国庫負担基準に縛られることなく、「サービス利用計画」「家族状況や居住環境等を最大限に尊重し、必要なサービスの種類と量を決定すること。

⑾、国に対して、貴市(町村)が必要と認めたサービス支給量の実績分を、全額負担するよう強く要望すること。

⑿、訓練等給付の支給決定案の作成において、本人の就労に対する意向を最大限尊重し、必要に応じて家族や事業者からも意見を十分に聞くこと。

⒀、訓練効果が出ないことを持って、訓練等給付の打ち切りや他のサービス事業への変更を強要しないこと。

 

4、相談支援について

⑴、3障害における相談支援事業の箇所数を増やすとともに、機能を充実すること。

⑵、希望する障害者が生活支援を受けられるよう、独自にケアマネジメント体制を構築すること。

⑶、ケアマネジメント従事者養成研修を受講した職員を計画的に養成するとともに、人事ローテーションも考慮し、貴市(町村)のケアマネジメント実施体制を確保すること。

 

5、「障害者地域生活推進事業(来年4月から9月までの間)」について

⑴、「障害者地域生活推進事業」の詳細を早急に明らかにするとともに、現行の支給水準から低下させないようにすること。

⑵、現在、無料となっている事業や、無料で対応している利用者には、新たな利用者負担を導入しないこと。

 

6、「地域生活支援事業(来年10月以降)」について

⑴、「地域生活支援事業」の詳細を早急に明らかにするとともに、現行の支給水準から低下させないようにすること。

⑵、自己負担については原則無料とし、自己負担を求める場合は、現状より負担増となることのないよう応能負担を堅持すること。また、移動支援事業やデイサービスについては、現行の応能負担にもどすこと。

⑶、「障害程度区分」によって、サービス(事業)の利用制限を設けないこと。

⑷、貴市(町村)の財政的圧迫が起こらないよう、国に「義務的経費」となるよう要望すること。

 

7、支給決定後のサービス利用について、あっせん・調整・要請などを貴市(町村)が責任を持って利用可能となるよう対応すること。またショートステイなどの緊急時の対応については、広域行政間の調整も含め迅速な対応を図れるよう配慮すること。

 

8、支援費制度で実施されていた県の単独加算を、自立支援法施行後も継続して行なわれるよう県に対して働きかけること。

 

9、今年度の支援費制度上の不足額について、国に補正予算を組んで穴埋めするよう要望し、サービス実施に影響が出ないよう配慮すること。

 

10、地域作業所に対する支援のため、円滑な事業移行が可能となるよう、事業体系の見直しにあたっては、事業化に必要な内容が加味されるよう強く国に働きかけること。また、新たな事業への移行は、あくまでも地域作業所の意向を尊重し、事業移行を希望しない場合でも、現行のまま運営できるよう貴市(町村)単独の事業として、助成制度を維持すること。

 

11、障害者基本法に規定される「障害者計画」の見直し、策定を行い、地域基盤整備、所得保障策、就労・雇用の支援策などを含め、総合的な市町村計画を策定し、順次その実現に努めること。

 

12、「市町村障害福祉計画」の作成に際しては、地域の障害者実態やニーズを的確に把握し障害者の自立を支える上で十分な施策の整備目標を持つこと。計画策定にあったては障害当事者も参加し、実施の進捗に市町村が責任を負うこと。

⑴、制度の狭間となる障害者が、自立支援法の対象となるよう国に働きかけるとともに、貴市(町村)として何らかの対策を講じること。

 

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