「重度障害者医療費助成制度見直しの内容と、私たちの取り組み」

障害者と患者の福祉・医療を考えるみんなのフォーラム実行委員会

 

現在、神奈川県と各市町村が実施している重度障害者医療費助成制度は、重度の身体障害者、内部障害者および知的障害者の手帳保持者を対象に支給されており、同制度を利用して医療機関にかかると原則的に窓口負担は0円です。

しかし県は、この制度を持続可能な制度にするためと称して、重度障害者および小児、ひとり親世帯の医療費助成制度の見直しを県と一部の市町村で検討し方向づける「制度見直し検討委員会」を設置し、重度障害者には通院1回あたり200円、入院1日あたり100円の負担を導入し、さらに所得制限(特別障害者手当の支給基準に準拠=本人所得3,604,000円以上の人は対象外とする)や、年齢制限(65歳以上で新しく障害者となった人は対象外とする)の制限をあらたに設けるなど、障害者が安心して病院にかかり適切な治療を受けることを制約しかねない制度の見直しが検討されています。

また県は、ひとり親世帯・小児医療費助成事業についても、就学前まで対象児童を拡大する変わりに、通院1回当たり500円などの一部負担金を導入しようとしています。

そして、検討委員会で合意された内容について、県民からの意見を聞いた後、3月の県議会で条例を改正し、早ければ来年10月からの実施を狙っています。

 

しかし、これで最後といわれていた5月末の検討委員会では、小児医療費助成制度における一部負担金の徴収について市町村から反発があり、重度障害者医療費助成の見直しも含めて全体の合意に至らず、結論を次回に持ち越すことになりました。

この間、座間市議会では「重度障害者に負担増を押しつける」ものだとし見直しに反対する県知事宛の意見書を決議し、綾瀬市議会と鎌倉市議会でも「一部負担金の導入見直し」「慎重審議」をもとめる意見書が決議されました。

また神奈川県社会保障推進協議会が、検討委員会に入っている横浜市医療援助課長に、見直しの中止を要請に行った際に課長と懇談したところ、課長自ら「重度障害者医療費助成制度の必要性は十分認識している、そもそも、この制度は県が100%支出してできた制度であるはずなのに、県費を削減し市町村に負担を押し付けてきていることは不満である。検討委員会では現場の実態はどうなのか、拙速すぎるという意見も出されている」と語りました。

さらに、8月4日に行われた障神奈連の対県交渉のなかで県は、検討委員会の再開が9月になるだろうとの見通しを示しました。

このように、検討委員会の再開が遅れており、一部負担金および、所得制限・年齢制限を導入する方向性が市町村とまだ合意に至っていません。

 

私たちは、昨年11月にNPO法人神奈川県腎友会や、横浜市精神障害者家族会連合会、神奈川県精神障害者連絡協議会、障害児者の生活と権利を守る神奈川県連絡協議会、神奈川県社会保障推進協議会と一緒に実行委員会を構成し、「障害者と患者の福祉・医療を考えるみんなのフォーラム」を開催しました。

実行委員会は、今後予想される福祉や医療の制度見直しに対する情報提供と学習交流を進めることで解散せず存続させてきましたが、今年に入り重度医療費助成制度の見直しが具体的に検討されてきていることから、6月より実行委員会を再開して、今後の対応について協議しました。

そして私たちは、重度障害者医療費助成事業への所得制限・年齢制限・一部負担金の導入に反対し、精神障害者への対象拡大など障害者の実態と要求に沿った制度の拡充を求める取り組みを進めていこうと話し合い、昨年の経験を生かし、県内の障害者・患者団体との共同運動を発展させること、とり親・小児医療費助成に一部負担金を導入させない運動と足並みをそろえ、統一した取り組みを行うことを留意しながら共同行動を進めています。

当面の取り組みとして、私たちの声を検討委員に届けようと、検討委員へのFAX要請行動を開始したところです。情勢は、まさに検討委員に対する働きかけがいま最も大事であり、実際に功を得ています。

引き続き、私たちのリアルな生活実態から、見直しの中止と医療費助成制度の拡充を求める声をFAXで検討委員に届ける活動とともに、請願署名や市町村議会への陳情、フォーラムへの参加などの取り組みを積極的にお願いします。

 

inserted by FC2 system