2007年1月24日

県保健福祉部障害福祉課 御中

神奈川県障害福祉計画(仮称)に対する意見・要望

障害児者の生活と権利を守る神奈川県連絡協議会

代表委員  荒井 忠、飯島 清、滝沢 操

根岸英光、前田 豊

川崎市多摩区登戸1408−107上野方

電話・FAX044−900−4988

 

はじめに

·      一人ひとりの障害者の生活実態や願い・要求を聞き取る作業を十分に行い、現行制度で対応しているのか総括し、その結果、生じるズレを克服して障害者の要求を実現するためには、どのような施策をどれだけ展開する必要があるのかを具体的に示す計画とすること。

·      策定に当たっては、このパブリックコメントで障害者・県民の意見集約が終わったとするのでなく、計画案の説明会を開催し、障害者・県民からの意見を直接聞き討議する場を設け、一緒に計画をつくる姿勢を見せること。なお、パブリックコメントに寄せられた意見等については、出された団体・個人の承諾のうえ公開すること。

·      「数値目標の達成ありき」でなく、支援を必要とするすべての障害者の生活実態や願い・要求を十分に尊重し、それに応じた支援が十分に行われるようにし、地域生活移行の希望なしに施設からの追い出しはしないこと。

·      希望すれば、今までのところで生活が持続できるようにすること。

·      地域生活への移行を進めるためには、サービスの基盤整備と共に、障害者を支援する職員の確保が必要である。しかし、障害者自立支援法では応益負担が導入され、単位数が高ければ高いほど、利用者負担増につながる仕組みであり、それを盾に国は介護保険より低い単価設定を行って予算削減を図っている。このことが、必要なサービス基盤整備を遅らせ、ヘルパーなどの福祉労働者が不足する状況を招いている。したがって、国に対し応益負担の撤廃と障害保健福祉予算の確保を要望すると共に、県自らが負担軽減を行い、国の基準の上乗せ補助を実施すること。

 

1 平成23 年度までの数値目標について

(1)施設入所者の地域生活への移行

·      利用者の願い・要求を尊重して、自己決定に基づく地域生活への移行を支援すること。希望すれば、今までの施設での生活を持続できるようにすること。

·      地域生活を支えるために、グループホーム・ケアホーム・ショートステイ・デイサービス、ホームヘルパー等の地域生活を支援する多様なサービス供給基盤を地域ごとに整備すること。とりわけ、重症心身障害者もグループホームに入居できるように、看護士を配置するための加算制度を設けること。

·      グループホームの体験入居が出来るように、職員を配置し、その体験入居期間の利用料は補助すること。

·      公営住宅の障害者用・単身者用を増設すること。また、民間住宅を障害者が借りて入居できるように、保証人制度や家賃補助、障害に応じた住宅改修補助制度を拡充すること。

·     施設も「豊かな暮らしと住居の場」の一つとして位置づけ、利用者の生活の質を向上させる施設改革を行うと共に、地域生活への移行システムと地域生活を支援するサービスの供給基盤を十分に整備すること。

·      重症心身障害児者が医療的ケアをうけながら日中活動および一時入所等ができる利用施設や生活施設を整備すること。

·      社会福祉の公的責任と公共性の原則を守り、サービス供給基盤を充実させるために県立障害児者施設の直営を維持し、拠点施設としての専門機能を拡充すること。また、知的障害児施設の統合を行わず、地域ごとに整備充実すること。

·      現行の県単独補助金である「民間社会福祉施設運営費補助」については、障害者自立支援法の施行とその影響を踏まえて、これまでの神奈川の障害福祉の水準を維持し、拡充する方向で検討を進めること。また、今後の県単独補助金の制度は、こうした後退に対し現行水準を維持するあらたな仕組みとして具体化すること。

 

(2)退院可能な精神障害者の地域生活への移行

·      入院している精神障害者の状況を正確に把握し、自己決定を十分に尊重した上で退院可能な精神障害者の人数を明らかにすること。

·      精神障害者の地域生活を支援するために、地域の中にグループホームを整備することはもちろんのこと、専門の相談員を配置し、日常的な生活支援に当たるとともに、ホームヘルパーへの支援を行うこと。

·      定期的に病院に通うことが出来るためにも、重度障害者医療助成事業の対象に精神障害者を加えること。

 

(3)福祉施設の利用者の一般就労への移行

·      障害者しごとサポート事業を拡充し、実際に就職へとつなげるために、ハローワークとの調整をはかり、必要に応じて企業に対する強力な働きかけを行うこと。

·      トライヤル雇用について、受け入れ先に対して、その障害者を雇用するよう働きかけること。

·      障害者の雇用を人的に支援する職場適応援助者(ジョブコーチ)を増員すること。

·      利用者の「働きたい」という願いを尊重し、一般的就労のみでなく、福祉的就労への移行も支援すること。

·      障害者の雇用の促進等をすすめること。とりわけ、@雇用率を引き上げること、A精神障害者の雇用率を確保すること、B現に雇用されている障害者で「嘱託採用」「パート採用」等によって、賃金・労働条件が劣悪になっているケースが多いことから、正規職員としての採用にすること。➃障害者の就労に関して、既成の雇用形態に止まらず、在宅雇用など障害者の実態に応じた新たな雇用形態が可能になるよう研究し、制度化すること。

·      就労支援事業において、何名就職できたかで評価し加算を付けることは中止すること。また、訓練機関は期限を設けず、求職者が就職できるまで支援を継続すること。

·      地域就労援助センターを障害保健福祉圏域ごとに3ヶ所以上整備すること。-

 

2 主な障害福祉サービスの必要量の見込みについて

(1)訪問系サービス

·      必要な時間帯に十分な訪問介護が利用でき、身体介護について同性介護が守られるように、加算を行うこと。

(2)日中活動系サービス

·      施設利用者の給食費については、少なくとも調理員等の人件費分について、低所得世帯に限らず全ての利用者に助成する軽減措置をとること。

·      施設運営費の日額払いは、様々な原因によって毎日の通所が困難となっている利用者へ必要な支援を否定するもので、また、施設の運営も脅かす大変深刻な問題です。 県として、国に対しこの運営費の日額払いを改めるよう求めるとともに、県単独補助金として、日額払いによる減額分の補助すること。

·      各施設への報酬単価の切り下げは、障害福祉職場で働く職員の人件費の削減となり、非常勤職員化等によって不安定な支援体制となります。また、福祉施設が将来的に安心して働ける条件のない職場となると、必要な職員の確保が困難となり、事業としても成り立たない事態も予測されます。すでに非常勤職員では確保が困難となっている実態も指摘されており、質の高い人材確保の観点からも職員人件費補助を実現すること。

·      地域作業所が今のままで運営が続けられるように、十分な支援策を講じること。また、地域作業所の多くが地域活動支援センターに移行すると思われるが、地域生活支援事業では、補助金が低く、しかも財源の大方は交付金であり、地域格差の助長も懸念される。従って、現行の県単独補助事業を維持し、利用者・家族への負担強化にならないようにすること。

 

(3)居住系サービス

·      グループホームとケアホームについては、障害程度区分による支援の格差や夜間体制の見直し等、現行の運営が維持できるのか強い不安を抱えています。県として現行グループホームの支援と夜間体制が確保できる独自の移行措置、支援策を実施すること。

 

4 県の主な地域生活支援事業について

 前提として 

·      地域生活支援事業への十分な財源保障を政府に要望すること。

·      利用者負担の軽減や、各事業サービスの基盤整備、地域生活支援事業などにおける市町村格差については、遠隔地加算を設けるなど、県の責任で格差を是正すること。

(1)専門性の高い相談支援事業(ささえあい)

·      県域における総合相談窓口事業を継続し、その箇所数を増やすこと。

·      相談支援事業者の指定に当たっては、県域の総合相談窓口に限定せず、現在、相談支援事業を行っているすべての施設、事業所を指定すること。また、市町村の福祉事務所等のケースワーク機能を弱体化させず、その責任をはたすよう県としても指導すること。

(2)広域的な支援事業(ささえあい)

·      放課後タイムケア事業にたいする県費補助を行い、市町村の実施を促進すること。

·      県として放課後対策事業を障害児・者と家族の生活実態に見合った形で制度化すること。また、実際に事業を行っている事業所に対して補助を行うこと。

(3)その他(いきがい・ささえあい)

·      障害者に対するIT〈情報技術〉施策を充実すること。

     パソコン購入に対する助成を行うこと。

     視覚障害者がパソコンを使うのに必要な音声化ソフトおよび周辺機器に対する助成を行うこと。

     視覚障害者に必要なファクシミリ、点字プリンターの購入に対して助成すること。雇用促進の面からだけでなく、社会参加促進の観点からも、「かながわ障害者基本計画」にある「障害者ITサポートセンター」を早期に設置すること。その設置に向けた具体化と、設置後の運営にあたっては、障害者団体の参加を十分に保障し、「協議会(仮称)」のような機関を設けること。

     入力出力装置の「フィッティング技術」や「改造」、さらには「障害理解」や医療的、教育的な技能を持つ「ひと」による支援が不可欠であり、専門家の育成をすすめること。

     当事者や支援者が相談できる専門機関を設置すること。

     ボランティアなどによる支援活動への支援を行うこと。

 

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